大学受験を控えた娘は予備校に通っているのですが、勉強が好きではなく塾など面倒くさがるはずの娘が毎日予備校に通っているので父親として嬉しく思い、ようやくやる気になってくれたのかなとか、妻と話していました。
ある日、娘と友人が一緒に勉強をすると我が家に来て、娘の部屋で勉強をしていたのですが、そこでの娘と友人の会話から少し不安を覚える会話を聞いてしまいました。
どういう会話かというと「〇〇先生ってカッコいいよね」とか「〇〇先生彼女いないんだって」「〇〇先生と遊びに行くんだ」などなど、
どうやら通っている予備校でひとり気に入った講師がいて、その講師は顔が良く優しい好青年だということです。
年ごろの女性として興味を持ってしまうのはやむを得ないと思いますが、心配でしょうがないです。
妻にも話したところ、「あまり気にしなくても大丈夫よ」と言いますが間違いが起こってからでは遅いので実態を知りたいと思っています。
そんなことはないと思いますが、関係がかなり進んでしまっていたら引き離さないといけないという気持ちもあります。
考えすぎということと、娘の意向を考えたらこれは良くない事なのかもしれませんが親としては予備校では勉強をしなさいという気持ちもあります。
大学に合格してからならとやかく言う気はないんです。
毎日予備校に通って努力をしているようにも見えるので、直接私が言い難いところです。
御社様の手がけている案件とは違うかもしれませんがご相談させていただきました。
依頼者のお話を聞いて、予備校の先生と生徒の関係とはよくある話だなとは思いました。
自由恋愛のこのご時世、二人とも成人しており、咎められることではないですが、父親である依頼者の気持ちも良く分かります。
依頼者も恋愛は大いに結構、塾の講師でも誰でも正直で娘を愛してくれるのであれば良いがそういうのは大学に行ってからにしろとのこと。
もっともなお話です。
ただ、現段階では対象者と依頼者娘さんの関係が不明であり、仲が良いだけの可能性の方が強いため、二人の関係性を調査するところから始めましょうと提案しました。
調査の結果によって対応が変わってくるので複数のパターンの対応策を提案し了承されたので、今回の案件を承りました。
①対象者と依頼者娘の関係がどういうものなのか調査してほしい
②親密すぎる関係で学業に支障がでるのであれば引き離してほしい
早速、対象者である予備校の講師の調査を開始、まずは対象者の退勤後の様子から調査を開始する。
数日間の調査で対象者の住所や社会的な繋がり等を把握する。
対象者は予備校から二駅離れたところに住んでおり、そこが実家の様子である。
戸建ての敷地には車が停車していることから運転することもあると想定される。
予備校で教えている科目にもよるのだろうか、土日に関係なく週に5日ほど予備校に通勤している。
休日に関しては遠出などなく近場に買い物に行く程度である。
交友関係も広くなく、予備校終わりに同僚と思われる男性と食事に行く程度であった。
なお、これまでの調査では異性関係は皆無である。
懸念されている依頼者娘とも外での接触はこれまでになく、調査の結果を伝えると依頼者は
「まだ安心しきれない、予備校内での様子も調べられないか」とのこと
依頼者の希望に沿うべく、予備校内に工作員を潜入させる。
対象者と依頼者娘が顔を合わせる教科は把握しているので同じクラスへの潜入に成功する。
予備校内での対象者は担当するコースが多いようで忙しくしている様子である。
授業と授業の合間も講師が待機している部屋にて作業をしているのが確認される。
明るく気さくで特段依頼者娘を優遇している様子などもないことから、依頼者娘の憧れに過ぎないような様子である。
この段階でも依頼者に報告をするが、未だに疑念は拭えないのか、対象者に恋人がいないのか、娘の対象者に対する気持ちはどの程度なのか知りたいということなので
工作員が依頼者娘に接触をすることにする。
依頼者娘は性格も愛嬌も良くすぐ打ち解けられる人物だったためスムーズに接触に成功する。
同じ受講クラスであるため、依頼者娘の友人と三人でいることが多くなり志望校の話や趣味や家族の話などを通じて親しくなっていく。
時間が経過した後に異性の話になり、気になる男性の話になると、依頼者娘はどうやら対象者が好みだということを話す。友人は元々知っていたので、「もっと積極的にがんばりなよー」とか「告白しちゃえ」などと煽るが依頼者娘は
「大学に受かってから告白する」「そのために毎日頑張っているの」とのこと、依頼者の心配は杞憂であると思われ、このことを依頼者に報告する。
依頼者は「そこまで考えているなら分かりました、私は黙ってみています」とのことで今回の案件は終了となったが、1か月後、夏が終わり受験生たちが一層努力し始めるころに依頼者から再度ご連絡がある。
なんでも依頼者娘が最近、家にいるとずっと誰かと電話をしていて、勉強しているのかどうか分からない、行動も今までとは変わり、予備校に行くと言って朝に家を出てから夜になるまで帰ってこない。
いくらなんでも毎日予備校に朝から夜までいるとは思えない、調べてほしい。とのこと
「電話は気になりますが、目的のために一生懸命頑張っているのではないですか?」と伝えても、「頑張っているのが分かればそれで良いんです」とのことなので再度、依頼者娘の周辺を調査することになる。
幸い先日潜入した工作員はフェードアウト前だったので依頼者様娘に連絡を入れさせ再度予備校に通うように
依頼者娘と友人と挨拶を交わして、それぞれの近況を話す、依頼者娘からは「最近先生と良い感じなの」と驚きの発言、娘友人は知っているようで何事もなく笑顔で聞いていて、「この時期にそんなことしてて大丈夫なのー」
とか「大学落ちても知らないよー」などと普段から話しているような軽い感じの会話をしている。
依頼者娘は「大学落ちても先生と来年頑張るからいいの」とのこと、実際の成績はそこまで良くなく努力が必要なのではと思われる水準であった。
以降、対象者と依頼者娘の関係について調べるが、確かに仲が進展しており予備校内でも頻繁に接触している。
また、対象者の退勤後、予備校外でも接触をしており、駅近くのファーストフード店などに行くのが確認できる。
この時点で依頼者に報告を入れると、「なんとかしてください」とのこと
現状、男女の関係ではないように思えるが、このまま進展していく可能性が高いため、早急に対処する必要があるが、引き離すと逆に娘に悪影響が出る可能性もあり、依頼者に以下の点を確認する。
【引き離した後、失恋のショックで全てにおいてやる気を失ってしまう可能性があります、それよりもこのまま講師との関係は続けさせ、頑張らせて大学に合格させた方が良いのではないか】と、この提案は依頼者の意向には沿っていないかもしれないが、別れさせた後に全員不幸になるのであれば、依頼者としても満足できるものではないのではないかという観点から提案をしたところ、依頼者は悩んだあげく「娘が幸せになれるのであれば、このままでも良い。ただ、大学には行ってほしい。色恋にうつつを抜かせて学業をおろそかにするなら引き離してほしい」
とのことなので、まずは、依頼者娘の奮起を促す方向に進める。
早速、工作員は友人と一緒に依頼者娘の恋愛を応援する関係を作り上げ、遊びに流れがちな依頼者娘を頑張らせる環境を構築する。
ある日予備校が終わった後、工作員は友人と依頼者娘と三人で勉強会を開かせそ、こに対象者も参加させることに、
その場で工作員と友人が対象者に圧力をかけ依頼者娘に勉強に集中させることを依頼する。
圧力をかけるまでもなく対象者は予備校講師としても依頼者娘に大学合格してほしいという希望があったので協力を全面的に約束する。
対象者の応援を受けて依頼者娘もやる気が出たのか真面目に勉強に取り組むようになった様子。
工作員と友人の存在が依頼者娘と対象者の距離感を調整して大学受験を無事終えることに、志望校への合格も果たして関係者全員が幸せに終われるという最高の結果となった。
特に友人の存在は非常に大きく、ここまでの成果が出せたのはひとえに彼女の存在だったとも言える。
直接伝えられない感謝の言葉を工作員からプレゼントという形で渡し、今回の案件は終了となりました。
当初依頼者の希望は対象者と依頼者娘の引き離しでした、これに関しては失敗と言えます。
今回は引き離すことで依頼者にも多大な不利益が発生する可能性があったため、他の方法を提案させていただきました。今回のように調査の結果によってより良い結果が見えた場合は依頼者様に提案させていただくこともございます。
今回のポイントは依頼者娘の友人が非常に協力的であったという点です。
時に工作は、対象者と工作員だけでなく周りの人間関係も大きく影響することがあります。
今回は、非常に協力的な人物がいたため、良い結果を出すことができました。
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